シンチャオ(ベトナム語で「こんにちは」の意)!はじめまして!
私HORIMIは、現在ベトナム・ホーチミンで駐在妻(以下、駐妻)生活を送っており、帯同歴は4年になります。
この記事では、これから海外へ帯同予定の「プレ駐妻さん」に向けて、私がリアルな駐妻経験から学んだ心構えや心得をお伝えしたいと思います。
情報収集をすればするほど不安になったり、「駐妻=優雅で楽しい毎日」というイメージとのギャップに戸惑ったりする方も多いかもしれません。
でも、実際の駐在生活は華やかさの裏に地味で孤独な時間も多く、きちんとした心構えがないとメンタルを崩しかねません・・・!
今回は、ネガティブになりすぎないようにしつつ、現実的な視点から「海外駐妻になる前に知っておきたい心構え&心得」をお届けします。
過度な期待はしない

海外に出れば、親族や長年の友人・知人は誰もいない場所で生活することになります。
しかも、駐在先によっては日本人がほとんどいないエリアに配属される可能性も。
ちなみに、私が現在帯同しているホーチミンには、日本人が1万人以上暮らしていると言われており、日系企業も多く進出しています。日本人街が形成されていたり、日系の病院やスーパー、レストランも豊富で、日本語が通じる場面も割と多いです。
でも、こうした環境は本当に”恵まれている”だけの話であって、海外生活ではむしろ珍しいことです。
帯同先によっては、日本人がほとんどいない地域に暮らす可能性も十分あるので、こうした恵まれた環境を”当たり前”と捉えてしまうと、「日本人がいない、日本語が通じないのが辛い」「日本だったら、こうなるはずなのに・・・これくらいはしてもらえるのに」といった場面で、必要以上にストレスを感じやすくなってしまいます。
人は「期待を裏切られたとき」にこそ、怒りや落胆の感情が強くなります。
だったら最初から期待しすぎない。「日本人の友達ができたらラッキー」「日本語が通じれば助かるな」「ここは日本じゃないんだから、仕方ない」くらいの、軽やかな気持ちでいたほうが、かえって海外生活がラクになりますよ。
自分のご機嫌は自分で取れるように

日常のちょっとしたことでも「楽しい」「癒された」と感じられるような、”自分で自分をご機嫌にできる力”は、海外生活において非常に大きな支えになります。
海外では、友達がすぐできるとは限らず、誰かに愚痴を聞いてもらったり、ちょっとした不安を共感してもらったりできる相手が見つかるまでには時間がかかることもあります。
また、夫や子どもが一緒とはいえ、夫は仕事、子どもは学校や保育園で家にいない時間も多く、思った以上に“ひとり時間”が長くなります。
そのため、駐妻生活では、何かと「孤独」や「孤立感」を感じやすいでしょう・・・。
そんな時に、「誰かが楽しませてくれる」「何か楽しいことが起きるのを待つ」というスタンスでは、どうしてもメンタルが不安定になりがち。
だからこそ大事なのは、「自分のご機嫌は、自分で整える」術を持っておくこと。
たとえば——
- 気分転換になるような趣味(読書、手芸、散歩、料理、写真…なんでもOK)
- 好きなカフェで一人時間を過ごす
- 日記やジャーナルをつけて自分の気持ちを整理する
- 好きな香りや音楽で五感を癒す
- オンラインで繋がれる安心できる人を一人でも持っておく
・・・・などなど。どんな形でも構いません。
「私はこうやって、自分を癒すことができる」という方法を、ひとつでも持っていることが、駐妻生活の”心の安定剤”になります。
外部環境が思うようにいかなくても、誰かが機嫌を取ってくれなくても、自分の心を整える力があれば、海外での暮らしはぐっと楽に、心地よくなりますよ。
私的に、「海外生活を楽しむ=心の筋トレ」でもあると思っています。
「友達作り」に振り回されない

駐在の世界は、3〜5年ごとに人がどんどん入れ替わる流動的な環境。
せっかく頑張って仲良くなれたと思った友達と、すぐにお別れ・・・そんなことも珍しくありません。
実際に、お友達作りに全力を注いだ結果、帰任や別れの連続に反動で疲れ果ててしまい、「燃え尽き症候群」になってしまった駐妻さんを何人も見てきました。
無理に交友関係を広げるよりも、現地の文化や食べ物、国際交流や自然を楽しんだり・・・一人でもできることに目を向けるほうが、海外生活をより充実させてくれます。
自分だけでもできることから、まずは大切にしてみてください。
また、海外各地の日本人コミュニティは”狭い世界”です。
日本人の知人が増えることで、気を遣う場面が増えたり、人間関係に悩むことも出てきます。
さらに、日本語が通じる安心感から距離が近くなりすぎてしまい、ちょっとした行き違いがトラブルに発展してしまうことも。
言葉が通じる=心の距離も近くなりやすいからこそ、最初から深入りしすぎず、ほどよい距離感を意識して付き合うのが大切。
過剰な期待は持たず、「気が合う人がいれば、自然と仲良くなれたらいい」くらいのスタンスがちょうど良く、精神的にも楽になりますよ^^
SNSでの顔出し・発信は慎重に

海外駐妻になると、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSで、現地の駐妻さんたちと繋がる機会が自然と増えてきます。特に海外生活の情報収集や共感を得られる場として、SNSはとても便利な存在です。
でも、その気軽さの一方で、「SNSは顔や暮らしが可視化される場」だということを忘れてはいけません。そしてもうひとつ、何度も言いますが「駐在先の日本人コミュニティは思っている以上に”狭い世界”」。
「フォロワー=見知らぬ人」ではなく、「誰かの友達の友達」「〇〇社の奥さんの知り合い」など、間接的に繋がっているケースが非常に多いのが特徴です。
実際に、顔や名前が知られていることで、街中や日本人の集まる場で「インスタのあの人だよね」と噂されたり、投稿内容から生活の様子や家庭の事情まで詮索されたりすることも。
さらに、これはあくまで一部ですが——駐妻の多くは専業主婦なので、自由な時間を持て余している人も少なくありません。その“余った時間”の使い方がポジティブなものであれば良いのですが、中には残念ながら、悪口や噂話に時間を費やしてしまう人も…。
そんな中に巻き込まれないためにも、あまり目立ちすぎない、過度に情報を出しすぎないという意識はとても大切です。
SNSは便利で楽しい反面、自分や家族の情報がどこでどう見られているかわからない場でもあります。”誰が見ているかわからない”という前提を忘れずに、顔出しや発信内容は慎重に選びましょう・・・!
ただし、駐妻生活の発信は、時として楽しい記録にもなりますし、誰かの役に立つこともあります。
ご自身と家族の安心・安全を最優先にして欲しい一方、リスクを理解した上で、ちょうどよい距離感とスタンスでSNSと付き合っていけると良いですね。
家族との絆を深めてから帯同すること

海外生活では、家族と過ごす時間が日本にいるとき以上に濃密になります。
これまで気軽に頼れた親族や友人が周りにいない環境では、日々の出来事を共有したり、悩みを相談できるのは基本的に「家族だけ」です。
だからこそ、家族間のコミュニケーションや信頼関係がとても重要になってきます。中でも夫婦関係は、駐在生活の快適さを大きく左右します。
夫に「海外まで一緒に来てくれてありがとう」という感謝の気持ちがない、仕事ばかりで家にいない、接待やゴルフなど外出続きで、こちらが孤独を感じてしまう・・・。
もしそんな状態が想像できるなら、無理に帯同せず、単身赴任してもらうという選択肢を検討するのもひとつの方法です。
海外帯同生活を楽しめるかどうかは、日本人の友達ができるかどうかではなく、家族、特に夫婦で過ごす時間が心地よいかどうかが鍵になると私は思います。
駐在生活は非日常であると同時に、家族としての“チーム力”が試される日々。だからこそ、帯同前にしっかりと家族間で話し合い、助け合える関係を築いておくことがとても大切です。
本帰国後も続いていく「家族」との関係性を、まずはしっかり整えてから海外生活に臨むことをオススメします。
生活水準を上げすぎない

東南アジアなど物価の安い国に駐在すると、日本では考えられなかったような“贅沢な暮らし”が現実のものになります。
広くて綺麗な高級コンドミニアム(いわゆるタワマン)に住み、毎日メイドさんが家事をしてくれたり、ナニーさんが子供の面倒を見てくれたり、外食はおしゃれで豪華。
物価の安さのおかげで、日本よりもずっと手頃な価格で、快適な暮らしが手に入ってしまいます。
でも、それはあくまでも“期間限定の仮の生活”であるということを忘れてはいけません。
いずれ本帰国の時が来れば、待っているのは日本の物価と、日本の生活スタイルです。
実際に「駐在中に生活水準を上げすぎたことで、日本に戻ってから家計が苦しくなった」「今まで当たり前に受けていた家事・育児サポートがなくなり、ストレスになった」・・・そんな声もよく耳にします。
人は、一度上げた生活水準を下げることが想像以上に難しいものです。
「せっかく駐在に来たんだから」と、つい気が緩んでしまいがちですが、その快適さは“未来の自分”の負担にもなりかねません。
だからこそ、「今の自分たちにとって本当に必要なものは何か?」を見極めながら、あくまで“自分たちが日本で戻れる水準”を意識した生活を心がけておくと、本帰国後もスムーズに暮らしを立て直しやすくなります。
本帰国後を見据えたスキルアップ

もし本帰国後に再就職を考えているのであれば、帯同中の時間をうまく活用して、「アピール材料になるような活動」を少しずつ積み重ねておくのがオススメです。
たとえば、
- 資格取得のための勉強
- 英語や現地語の学習
- オンライン講座の受講(ITスキル、マーケティング、デザインなど)
- ポートフォリオの作成(例:ブログ、WEB制作、SNS運用 など)
なかでも私が特にオススメしたいのが、ブログ運営です。
ブログはただの趣味にとどまらず、ライティング力・構成力・マーケティング思考・SEOなど、今後の仕事に活かせる“実践的なWEBスキル”が自然と身に付く活動です。
また、続ければ立派な「成果物(ポートフォリオ)」として履歴書に書ける実績にもなります。
例えば、よくある「カフェ巡り」や「海外での子育て記録」なども、SNSのストーリーズや投稿で終わらせるのではなく、ブログにまとめて発信することで、より長く残る”資産””WEBスキルを証明するポートフォリオ”に変わります。
「今は専業主婦だから」と何もしていないと、いざ就職活動を始めたときに自己PRの材料がなく、自信を持てずに終わってしまう・・・なんてことは、避けたいところ。
逆に、「帯同中これを続けてきた」と言える活動がひとつでもあれば、それが大きな強みになります。
帯同中は、まとまった時間を確保しやすい貴重な時期でもあるので、未来の自分のために、できることから少しずつ動き出してみるのがオススメです。
トラブルやイレギュラーさえも楽しむ気概を持つ

海外生活では、日本ではまず考えられないような”小さなトラブル”や”イレギュラー”が日常的に起こります。
突然の停電、水漏れ、タクシーが言い値でふっかけてくる、頼んだ料理と違うものが出てくる…などなど、「そんなことある!?」とツッコミたくなるような”想定外”は日常茶飯事。
言葉の壁や文化の違いがある分、ひとつのことを解決するのにも時間がかかることがあります。
でも、そんなハプニングすらも”海外ならではの経験”として笑って受け入れられるようになると、心の余裕がぐっと広がりますよ。
もちろん、トラブルそのものは面倒だし、ストレスになることも。でも、起こってしまったことに過度にイライラしたり、完璧な日本式を求めたりしてしまうと、自分の心がどんどん疲れてしまいます。
「これはこれで、海外っぽいエピソードが1つ増えたな〜!」
「こんな経験、あとから振り返ったら笑い話になるかも!」
そんなふうに、“ネタが増えた!”くらいの気持ちで乗り越えていく姿勢が、駐妻生活を前向きに楽しんでいく大きなコツです。
完璧を求めすぎず、多少の抜けやハプニングには寛容になる。そんな”柔らかさ”や”ゆるさ”が、海外生活では大きな武器になりますよ^^
「一度きりの駐妻生活」を楽しもう!好奇心を武器に

駐妻生活は、言ってしまえば“人生の番外編”。本帰国が決まっている以上、必ず終わりが来る「期間限定の非日常」です。
だからこそ、「せっかくなら楽しんだもの勝ち!」というマインドがとても大切。
観光、グルメ、ローカルのイベント参加、マーケット散策、現地文化へのチャレンジなど、できることにはどんどん飛び込んでみましょう。
最初は戸惑いや不安を感じることもありますが、興味や好奇心を持って動いてみることで、想像以上に楽しい出会いや経験が待っていることもあります。
日本での日常では出会えないような国籍・世代・価値観を持った人と繋がれるチャンスもあり、自分の視野が一気に広がる瞬間が訪れるかもしれません。
何より、「この海外生活を思いきり楽しもう!」という気持ちが、自分を前向きにしてくれて、孤独や不安を乗り越える大きな力にもなります。
「何者でもない自分」に向き合える貴重な機会にしよう

帯同先では、それまでの職業や肩書き、人間関係といった“社会的な立場”からいったん切り離され、「○○さんの奥さん」として見られる場面が多くなります。
この環境の変化に、最初はアイデンティティを失ったように感じたり、「自分って何者なんだろう」と戸惑ったりするかもしれません。(「アイデンティティ・ロス」と言うもの)
でもこれは、ある意味でとても貴重な体験です。忙しさに追われて見失いがちな”自分自身”に向き合う時間を、ようやく持てるタイミングでもあるのです。
社会から一歩離れたからこそ、自分の価値観を見つめ直したり、好きなこと・興味のあることに純粋に没頭できたりする。
この「何者でもない時間」を、ただの”空白”として過ごすのではなく、「自分を豊かにするための種まき期間」だと捉えることで、駐妻生活がもっと意味のあるものになるはずです。
読書、勉強、趣味、小さなチャレンジ——どんなことでも構いません。今の自分が心から楽しいと思えることを、少しずつ見つけてみてください^^
自分軸と柔軟性のバランスを持って臨もう

海外生活では、日本で「当たり前」だったことが、まったく通じなかったり、自分の常識がひっくり返るような場面に出くわすことがあります。
言葉の違いはもちろん、文化や価値観、生活スタイル、人との距離感まで——どれをとっても、自分が慣れてきた世界とは異なることばかりです。
特に、さまざまな国籍・年齢・キャリア・家族構成の人たちが集まる国際都市では、暮らし方や価値観は本当に十人十色。
日本社会の“同調圧力”から解き放たれる一方で、「自分はどう生きたいのか?」という問いが突きつけられる場面も増えてきます。
そんな環境で、なんとなく周りに合わせて動いていると、気づかないうちに「本当はやりたくなかったこと」に時間やエネルギーを使っていたり、「自分って何が好きだったっけ?」と、自分を見失ってしまうことも。
だからこそ大切なのが、「自分はどうしたいのか」「何に価値を感じるのか」という“自分軸”を持って海外生活に臨むこと。
たとえば…
- SNSや人の言動に振り回されすぎず、自分にとって心地よい情報だけを選ぶ
- 無理に交友関係を広げようとせず、気の合う人とだけ自然に付き合う
- 周囲のペースに流されず、自分らしいペースで暮らしを整える
- 「この帯同期間をどう使いたいか?」を自分の中で言語化しておく
このように、「私は私。私のペースで暮らす!」という感覚を持っておくことが、海外生活を健やかに、そして心豊かにしてくれます。
「周囲にどう思われるか」よりも、「自分にとって何が大切か?」を基準に行動できると、海外での毎日がぐっと楽になりますよ。
とはいえ一方で、“郷に入っては郷に従え”という柔軟さも忘れずに。
日本とはまったく違う価値観や習慣に出会ったときは、驚きつつも、「そういう文化もあるんだな」と一度受け入れてみる姿勢が大切です。
無理に合わせる必要はありませんが、現地のやり方をリスペクトすることで、ぐっと馴染みやすくなることもあります。
要するに、大事なのは、「自分の価値観を持ちつつ、必要に応じてゆるやかに適応する」というバランス感覚。
あまり気を張りすぎず、時には「まぁ、いっか(笑)」と肩の力を抜いて、ちょうどいい距離感で“自分らしい海外生活”を楽しんでいきましょう。
まとめ
海外帯同生活は、決して楽しいことばかりではありません。文化の違い、人間関係の悩み、孤独や焦り——ときに日本にいた頃には考えもしなかったような壁にぶつかることもあるかもしれません・・・!
でも、その一方で、好奇心のアンテナを立てて一歩踏み出せば、日本では出会えなかった景色や人、経験があなたを待っています。
「何者でもない自分」に出会い直し、自分自身と丁寧に向き合える、とても貴重な時間でもあります!
そして何より、どんな日々を送るか、何に時間を使うかはすべて自分次第。
誰かと比べず、自分にとって心地よい距離感やペースで、“自分らしい駐妻生活”を少しずつ築いていけば、それで十分なのです。
この記事が、これから海外帯同を控えたあなたの心を、少しでも軽くできたなら嬉しいです。
不安や緊張の先に、あなただけの豊かな経験が広がっていますように。Bon Voyage!

