シンチャオ〜!ホーチミン在住ブロガーのHORIMIです。
私は、帯同してすぐに現地で就活&「現地採用」という形で現地就業を1年間経験しまして、最終的に、(帯同する限りは)フリーランスとして働く道を選びました。
この決断に至るまでには、相当な労力と時間がかかってしまったので、プレ駐妻の段階で色々と知っておけたら、多大なる苦労をせずに済んだかもしれません・・・!
パートナーの海外駐在が決まった、もしくは、海外駐在中のお相手と結婚することになったら・・・
そして、プレ駐妻となったあなたは海外へ帯同することとなり、日本で築いてきたキャリアを突然中断せざるを得なくなったら・・・?
多くのプレ駐妻が帯同を前に抱く疑問の一つは、「私も現地で働けるの・・・?」ではないでしょうか。
私も、共働きがスタンダードとなっている平成生まれ世代なので、同じ疑問や不安を抱えていました!
私の場合は、夫が駐在するベトナムへ帯同してすぐに現地で就活を開始し、色々な障壁をクリアして、幸い「現地採用」という立場で働くことができたのですが・・・
1年間現地就業したからこその気付きが多々あり、最終的にはフリーランスのWEBライター・ブロガーとして新たなキャリアを歩んでいます。
本記事【前編】では、私がプレ駐妻時代に知っておきたかった「現地就業のリアル」について、後日公開予定の【後編】では、「リスキング(社会人の学び直し)から繋がる”フリーランス”という働き方」について、
“現地で働きたいと考えている同年代・後輩プレ駐妻さん”に向けてお話ししていきます!
これから駐妻となる方々にとって、帯同準備・選択の一助となれば幸いです。
※当サイトは、AdSense・アフィリエイト広告を利用しています。
駐妻が現地で働く道は2つ!「現地採用枠で現地就業」か「フリーランス」
「現地採用」として現地で働く場合
駐妻でも、帯同先の日系企業(以下、「日系在外支店」と記載します)に直接応募して、「現地採用枠」で採用され、そして、その国から労働許可(労働ビザ・ワークパーミット取得)が下りさえすれば、現地で働くことができます!
これを、巷では「現地採用」と呼びます。
参考までに、駐妻が「現地採用」として現地で働く場合のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 現地採用就業のメリット
-
- 現地社会とのつながりを持つことができる。
- 現地のビジネス文化や言語を学ぶ機会が得られる。
- 自分の力で現地での生活資金・福利厚生を得られる。
- 現地でのやりがいを得られやすい。
- 駐在員の夫と視座が近くなり、共通の話題が増える。
- 現地採用就業のデメリット
-
- 労働ビザ・ワークパーミットの取得が必要になる。
- 日本本国企業とは異なる労働環境や働き方にカルチャーショックを受けやすい。
- 自由時間・休日が減る。
- 家事・育児との両立が難しい。
- 駐在員と同レベルの働きが求められる。
- 現地採用の給与や福利厚生は基本的に駐在員以下の内容となる。
- 日系在外支店は、ほぼ男性社会。女性就業者特有の悩みや苦労を理解してもらいづらい。
ただし、駐妻が現地採用として働くには、様々な障壁がつきまといますので、応募・就業にあたっては十分ご注意いただきたいです・・・!
駐妻が現地採用で働く場合は、後述の「現地採用枠で現地就業を目指すなら!その前に知っておいてほしいこと」をぜひご一読ください!
フリーランスとしてフルリモートで働く場合(日本本国企業と業務委託契約)
「フリーランス」とは、自分自身で仕事の案件を探し、案件元と業務委託契約を交わすことで、所属する会社や団体に依存せずに働くスタイルのことです。
つまりは、海外帯同中の駐妻でも、PCさえあれば、日本本国企業が募集する案件に応募でき、自分のスキルや専門知識を活かして、「業務委託契約」という形で仕事ができます!
そして、それらが全てオンラインで完結するので、「フルリモートワーク」が可能!
ちなみにベトナムの場合だと、ベトナム拠点の雇用主に雇われて現地で労働し収入を得るには必ず労働許可を取得することが求められますが、雇用主がベトナムにはなくて、例えば、日本本国企業との業務委託契約などによる「越境リモートワーク」であれば収入もベトナム国外で発生するため、帯同ビザでもOK!
ベトナム在留駐妻が日本向けにリモートワークをすることに関しては、労働許可取得は不要となります。(ただし、リモートワークに伴う納税義務は発生しますので納税先は要確認!)
- WALKERS「ベトナムに住みながら日本の仕事をリモートワークできるのか?ビザや確定申告についても解説」(2023年9月20日)
- べとわーく「ベトナムで家族と暮らすための帯同ビザと労働許可証(WP)の取得ガイド」(2024年6月24日)
- I-GLOCAL「越境リモートワークの注意点~家族帯同で配偶者がベトナムで仕事を続けるには~」(2021年6月9日)
- 日本貿易振興機構(JETRO)「ベトナム|税制」(2024年7月5日)
・国によって在留外国人の労働条件・法律が異なっていたり、そもそもパートナー(駐在員)の企業が帯同者に対して就労を禁止していたりする場合があるので、就労前に現地の関係各所に確認をするようにしてください。
・国や個々の状況により税務内容は異なるかと存じますので、上記の内容はあくまでも参考までにしていただき、実際にフリーランスとしてリモートワークを始める際には、一度現地会計事務所等の専門家へご相談をお願いいたします。
なお、日本市場の業務委託案件の傾向としては、プログラミング、WEBデザイン、WEBライティングなど、物理的な場所にとらわれないWEB系の仕事が多いです。
以下にて、「フリーランス」として働くメリット・デメリットをまとめてみました。
- フリーランスのメリット
-
- 海外在住者でも応募可能な業務委託案件(フルリモート)に挑戦できる。
- 場所(在住国)や時差を気にせず働ける。
- 応募から採用、案件受注、納品までオンラインで全て完結。
- 自分のペースで働ける。
- 休みが取りやすい。
- 自己裁量が大きい。
- 家事・育児と両立しやすい。
- 自分の興味や得意とする分野に特化して仕事ができる。
- 現地で労働ビザ・ワークパーミットを取得する必要がない。
- (本帰国で日本で再就活が必要になった時)フリーランス中の実績はポートフォリオとなりアピールできる。
- フリーランスのデメリット
-
- 自己管理・責任能力が求められる。
- 同僚が側にいないため孤独を感じやすい。
- 現地での納税など事務対応は自己手続き。
どちらの働き方も経験した筆者のオススメは「フリーランス」
どちらの働き方を選ぶかは、各個人の目標や状況、価値観次第。
・・・と言いたいところですが、
帯同先で「現地採用」と「フリーランス」のどちらの働き方も経験した私が、もしもプレ駐妻さんから「どちらの働き方が良いですか?」と相談されたら、私は、迷わず「フリーランス」をオススメするでしょう・・・!
なぜなら、「現地採用」は、採用されるまでも、されてからも、駐妻が超えるべき障壁があまりに多すぎるから。
それでは、私の実体験・リサーチを元に、現地就業を目指している方や興味がある方向けに、
【前編】では、より詳しく「現地採用」「日系在外支店」のリアルに触れつつ、
【後編】では、なぜ私が「フリーランス」という働き方をプレ駐妻さんにオススメしたいのかについて解説していきます!
ここから、ちょっとお堅い話が続きますが、読んでいただければ現地採用就業のリアルが掴めますよ!
現地採用枠で現地就業を目指すなら!その前に知っておいてほしいこと
まずは、「現地の日系労働市場の実情」を理解したうえで、現地で就活を始めてほしいな〜と思います!
私の場合、「駐在員」と「現地採用」の違いも理解できていなかったし、日本にいる感覚で、帯同先でも”パート勤務”ができるものだと勘違いしていました。
そんな甘い感覚でいたので、後々強烈なカルチャーショックが待ち受けていました・・・!
前提:現地就業には「就労ビザ・ワークパーミット」の取得が必須
現地就業を視野に入れているなら、最初に確認すべきことは、現地での労働許可(就労ビザ・ワークパーミットなど国によって異なる)取得可否です。
前述した通り、在留外国人は、帯同先の国から労働許可を得なければ、そもそも現地就業ができません。
さらに、ご承知おきいただきたいのは、その労働許可は、誰でも簡単に取得できるものではないという現実です。
たとえ申請者本人に、現地就業の意欲があるとしても、です。
就労ビザ・ワークパーミット取得可否については、申請者の学歴や職歴、専門性、語学力などが大きく影響し、その評価基準は国によって異なります。
つまり、申請者と現地求人市場のニーズがマッチしているかだけでなく、帯同先の「就労ビザ・ワークパーミット」取得条件をクリアできているかどうかでも、現地就業の可否が決まるのです。
「駐在員」と「現地採用」の違いと実情を理解する
「駐在員」と「現地採用」では、所属先、契約内容、給与、福利厚生の全てにおいて、大きな違いがあります。
駐在員と現地採用の違い:パートナーは「駐在員」として親会社・本社から派遣されている
- 給与・福利厚生は、親会社・本社の国(日本)の労働市場がベース
-
駐在員は、親会社・本社(以下、「本社」と記載)から送り出されている形であるため、駐在国で採用されているわけではありません。
そのため、駐在員の契約内容や給与、福利厚生などは、基本的に「本社が拠点を置く国(多くの場合は日本)」の規定に従って決定されます。
そして、「駐在員本人の意思ではなく、あくまで会社都合により駐在国へ派遣されている」という状況を鑑み、駐在先での生活費、家賃、子どもの学費、一時帰国費用などの一部または全部が本社から支給されます。
給与・福利厚生の面で、駐在員は高待遇を受ける点については「現地採用」との大きな違いの一つ。特に、現地の物価が高い地域や危険地域では、更に手厚い手当も付加されることがあるので、その差は大きくなります。
- 駐在員は、自分に適したポジション・職種が用意されている状態で赴任する
-
駐在員は、自身に最適なポジションや職種が駐在先に用意されている状態で赴任します。
一方、「現地採用」の場合だと、現地の労働市場と求人をリサーチし、自分自身が適すると思うポジションや職種を、現地で見つけて採用される必要があります。
語学力などの応募条件も、現地の在外支店によって異なるので、求人票を1つ1つ確認し、応募・面接などを経て、実際に現地で就業開始するまでには、かなりの時間と労力を要します。
対照的に、駐在員の場合は、本社側がある程度の適格性を判断&専門的なトレーニングなどのサポートをしたうえで駐在先に派遣される訳なので、比較的スムーズに着任することができます。
- 労働許可の取得もスムーズ
-
駐在員は、本社側の全面サポートの下で、労働許可申請の手続きを行います。
これは、駐在員の労働許可取得を容易にし、結果として、承認から駐在国に赴任するまでの時間と労力を大幅にカットできます。
申請プロセスでは、通常、本社の人事部門や法務部門、または専門家が、必要書類の準備、申請手続き、細部確認など、全過程をサポートしてくれます。これにより、駐在員の就労ビザ・ワークパーミットの承認率がグッと上がるわけです。
一方、「現地採用」の場合、自己申請または在外支店(在外支店には、申請手続きの専門員・知見がないケースが多い)が主導となって申請します。本社は基本的に支援してくれません。
現地採用者の申請手続き自体は、在外支店からの採用後に開始されるものですが、複雑で時間のかかるプロセスであることが多く、採用されたからと言って、必ずしも取得できると言う訳ではないですし、取得できなければ内定取消、就業することも叶いません。
- 「現場リーダーor管理職」「日本本社と在外支店との仲介役」を担う
-
駐在員は、本社から、適格性や実績、特定の知識・スキルを認められたうえで、駐在国へ派遣されます。
(ただし最近では、研修という名目で、若手社員を短期派遣するケースもあり)
そして、駐在員は、駐在先にて新市場を開拓したり、既存業務を改善したり、在外支店チームを指導したりする「現場リーダーや管理職」としての役回りを本社から期待されています。
また、駐在員は、「日本本社と在外支店との橋渡し」という大切な役割も担います。
本社と在外支店との間にある物理的距離感や文化・言語コミュニケーションのギャップを埋めるために、駐在員が両社の間に立ち、本社からの指示・意向を在外支店へ伝え統率するなど、
双方向の意思疎通を円滑に行い、時には板挟みになりながら、効率的な協業をサポートします。
以上の通り、駐在員は、本社から高待遇を受ける一方で、駐在先では広く複雑な役回りをかけ持ちし、海外ビジネスの成功を左右する重責を担う立場なのです。
駐在員と現地採用の違い:駐妻は「現地採用枠」で就業することになる
- 給与・福利厚生は、帯同先の国の労働市場ベース
-
駐妻が現地の日系在外支店で勤めるには、基本的に「現地採用枠」での就労となります。
パートナー(駐在員)の所属先(本社)が、「帯同手当」を支給することはあっても、帯同者の現地雇用までをサポートすることは稀で、駐妻自らが現地の日系求人に応募し、自身のスキルと経験を訴求して、就職活動を行う必要があります。
また、「現地採用枠」での就労は、その国や地域の労働市場の基準に基づいて雇用条件が設定されます。
つまり、給与や福利厚生については、その国での市場価値や法律に従った形で支給されることに。
給与水準を例にすると、先進国であれば日本以上となり得ますが、発展途上国だと日本以下となります。
そして、現地採用の給与や福利厚生は駐在員より低めに設定されていることが多く、日本本社からの補償・手当も基本的にありません。
以上のことから、駐妻が現地で就職する場合、帯同先の国の労働環境を理解し、日本と違った市場価格に基づく給与や福利厚生を受け入れる必要があります。
パートナー(駐在員)や、自分自身が日本本国で働いていた時の雇用条件・待遇を基準に考えていると、在外支店との間で大きなミスマッチが起きてしまうどころか、応募できる求人も限られてしまいます。
- 日本で築いた経歴とマッチする求人が現地に存在しないケースも
-
現地に存在する日系企業数と、その業種・職種には限りがあります。
海外進出を果たしている日系企業の業種としては、「商社、製造、小売、外食、サービス、金融、不動産開発、IT」と限定的。
また、現地の日系在外支店が主に募集している職種は、「営業、営業アシスタント、企画・マーケティング、経理、マネージャー、工場長、エンジニア、通訳・コーディネーター」など特定のポジションで、常時求人募集しているとも限りません。
例えば、日本本国で「ウェディングプランナー」として働いていた方が、現地採用で同様の求人を見つけるのは、中々難しいかもしれません。(日系ブライダル企業が海外進出しているケースは少ないのと、ウェディングプランナー自体が日本独自の文化から生まれた職種であり、海外ではあまり需要がないため)
それに、現地採用では「経験者」「即戦力」が求められる傾向にあるので、未経験の業種や職種の求人には、応募資格すら与えないことがあるのも難点。日本本国だったら「未経験者OK」求人が沢山あると言うのに、現地の日系求人市場は中々シビアな世界なのです・・・。
以上の通り、現地採用は求人数・選択肢に限りがあるので、現地での就活では「日本時代の経歴だけに固執せず、適応性とチャレンジ精神を持って臨むこと」「自分の経歴やスキルをどのように現地の求人市場とリンクさせていくか」が求められます。
もし、ご自身が希望する職種や業種が現地に存在しない場合、それを新たなキャリアチェンジのチャンス、自己を再定義するきっかけとして前向きに捉えてみてください。
- 「パート・アルバイト」という勤務形態はほぼ存在しない
-
多くの日系在外支店は、人手不足に直面していたり、(人件費削減のために)あえて少数精鋭を目指していたりします。
なので、在外支店側としては、現地採用する人物に対して、「1人で多角的な役割を担当できる能力」を求める傾向にあります。つまりは、社員としてフルタイムで働けて、より多くの業務をこなせる人材を望んでいるのです。
「パート・アルバイト」を雇うとなると、時間制限があるため業務範囲が限定されてしまい、少数精鋭を目指す在外支店としては効率が良い採用とは言えません。
また、現地採用者1人1人の労働許可申請の手続きは、在外支店にとって大きな負担となります。
時間、労力、費用を大量に投じてまで「パート・アルバイト」へ投資することは、コストパフォーマンスやリターンを考慮すれば、現実的ではないと判断されることが多いです。
以上から、在外支店は、即戦力となり多くのタスクをこなせるフルタイムの人材を優先的に採用する傾向にあります。それが現地採用における「パート・アルバイト」の形態が少ない、あるいは存在しない主な理由とも言えます。
駐妻が現地採用を目指す場合も、在外支店の事情を理解し、「帯同先でもフルタイムで働ける環境を整えられるのか」「組織全体の運営に貢献できるのか」を、まずは自分自身に問う必要があります。
- 多様性や独自性が集う環境の中で働く
-
在外支店は、様々な背景や独自性を持つ社員たちが集う場所であり、日本本国の企業各社とは一線を画しています。
まず、在外支店の中核を担う駐在員は、本社から派遣されている立場上、本社と在外支店の間に立って、両社に配慮しながら頻繁に調整を図る必要があります。
一方で、自発的に現地採用の道を選んで、在外支店で働く日本人社員もいます。彼らは自由な意思で日本を出て、海外就業を果たしたものの、十分な研修などを受けられないまま、すぐに現場で即戦力として働かなければならず、プレッシャーを抱えやすい立場にあります。時には、駐在員より待遇が低いことに不満を持つこともあるでしょう。
そこに、現地国籍スタッフ(日本語を話せない人もいる)も加わることになるので、在外支店は、採用経路や待遇、バックグラウンド、人種、言語、文化、考え方など諸々異なる人々が集う、特殊な職場環境だと言えます。
ですが、そんな在外支店の社員同士が、お互いの理解を深め、本社と同じ方向性を向き、力を合わせて進んでいけるような仕組みや研修・指導体制が整っているケースは、残念ながら稀です。
たとえ日本本社が「チームワーク」「協調性」「ビジネスマナー」などへの意識を大切にしている企業文化だとしても、それが必ずしも在外支店に浸透しているわけではないのです。
むしろ、在外支店では、「個人成果主義」「自走」「自己主張」「完全分業」といった労働文化が主流の場合があり、日本本国での会社勤めが長くチームワークを好む方にとっては、カルチャーショックを受けやすい点かもしれません。
加えて、少数精鋭による社員1人1人の業務量増加も相まって、在外支店では、社員同士が思いやり、助け合える程の心の余裕は、中々生まれにくい状況です。
このような背景から、在外支店には、駐妻向けの特別な配慮やサポートを提供できる余力があるとは言い難く、それゆえに、現地採用の道を選ぶ際には、上記の現実をしっかりと理解して進むべきです。
現地採用就業を経て・・・実体験を踏まえた私の選択
私にとって、現地採用として働いた挑戦は、「現地社会との繋がりを持つ」「帯同先で新たな経験を積む」という点で価値がありましたが、以下の実体験で「現地採用の実情」に直面したことで、私は最終的に「フリーランス」の道を選びました。
- 現地の求人は、自分の経歴やスキル・希望にマッチしなかった
-
「帯同先でも自分の力で稼ぐ」という経験は、自信につながった部分もありましたが、100%自分自身の希望や日本時代の経歴にマッチした職務に出合えた訳ではなく、いくつかの妥協を伴いました。
そんな中で、未経験業種ではあったものの「業種未経験者OK」「駐妻さんOK&家庭・育児との両立可&時短勤務可」と謳う営業アシスタント職に出合いました。駐妻にとってはありがたすぎる希少な求人。応募しない手はなく、面接を受けたところ、無事採用いただけました。
が、実際の職務内容自体は、「複数の営業担当者に代わって膨大な単純作業・雑務を1人で捌く」というもので、やりがいや今後の展望が見出せなかったり、自分の経歴やスキルが活かせなかったりしたので、どんどんフラストレーションが募っていくのが実情でした。
- ワークスタイルの違い
-
私が勤めていた日本の会社では、新卒時代から「チームワーク」を育む研修があったり、実際にチームで進めていく案件がほとんどだったりで、私にとって「チームワーク」はごく当たり前のものでした。
そのせいで、「完全分業制」という現地での働き方に馴染めず、それが働きづらさにもつながりました。
加えて、各営業担当者からの依頼が早朝・深夜も容赦なくバンバン来るうえに(在外支店は、日本本国ほど労働時間の規制等が行き届いていないため)、やり方が分からないので依頼元の営業担当者に尋ねると「僕もやり方までは分からないので、本社に聞いてください。」という淡白な対応に戸惑うことが多々あり、ストレスを感じることもありました。
HORIMI日本OL時代、私も営業ウーマンだった時期があるけど(その後WEBディレクターへ転職)・・・自分がやり方を知らない仕事を営業アシスタントさんへ依頼をするなんて非常識だし、そんな失礼なことをしたら上司から怒られていたと思う。
そんな日本本国企業の職場環境に染まっていた私から見て、在外支店の仕事の進め方が少々ずさん・淡白に感じてしまい、ストレスに陥りました・・・。 夫そりゃ〜、日本本国企業は社内インフラ(社員数が多くてリソースもある)が整っているからね。社内マニュアルや統制、研修サポートがしっかりしているだろうし、ある程度心の余裕が保てるような仕事量を社員1人1人に振ることが可能だと思う。
でも、在外支店は少数精鋭&成果主義。社員全員にマルチタスクと結果が求められるよ!それに、研修もない中で自走しなきゃいけない。
だから、HORIMIの在外支店の方々も、HORIMIには「マルチタスク」と「自走」を求めてたんじゃないかな。 HORIMIなるほど・・・。「時短勤務・駐妻OK」という謳い文句を鵜呑みする前に、まずは在外支店の実情をもっと理解する必要があったね・・・!
- 将来的に「出産・育児」との両立が難しそう
-
在外支店では、完全分業制により、社員同士がお互いの業務内容や進め方を知らないケースが多々あります。
そのため、1人が出産や育児、体調不良のために一時離脱してしまうと、業務が滞ってしまう可能性が出てきます。
それに、同僚が多忙で多くの業務を抱えている場合は、引継ぎが困難だったり、在外支店側も代役の手配が難しい場合があり、結果、離脱期間中も自分自身が稼働したり業務のフォローをしなければならない事態が想定されます。
実際に、私が現地採用就業期間中に体験したこととして、コロナ感染で2週間の休養を余儀なくされた時のことをお話しますと・・・
同僚たちは私が担当していた業務内容や遂行方法を知らなかったうえ、各自忙しく各々の業務に追われていたため、在外支店内で引き継いでくれる人はいませんでした。
そのため、本社に依頼して簡単なフォローをしてもらいながら、休養中も私自身で業務対応をしなければならない状況に追い込まれたのです。本社への支援要請も大がかりなものであり、高熱の中でもメイン対応に追われる事態に。
あくまで私個人の体験であり感想ですが、この体験を機に、将来的に出産・育児で長期離脱や稼働時間の制限がどうしても出てくる場合、在外支店にも迷惑がかかること、自分自身も現地採用就業と出産・育児との両立が困難であることが想像できてしまいました。
- 労力の割には継続性のある働き方を築けない
-
私が現地採用を続ける場合、夫の駐在国が変わる度に、改めて新天地で就活をして、労働許可申請の手続きをする…という課程を再度やらなければなりませんが、それは想像以上に大変だ!ということを、1ヶ国目で痛感しました。
また、現地就活において、キャリアコンサルタントや面接官からの質問で、「旦那さまは、この国にどれくらい駐在されるご予定ですか?(半年や1年だけとなると採用は難しいそうで、根拠がなくてもこの質問に対しては「3年以上居る予定です。」と答えるしかありませんでした。)」
「旦那さまの会社から帯同手当などをもらってますよね?働く必要性が低い中で、現地採用で働きたい理由は何ですか?」と尋ねられることがありました。
中には「帯同によりキャリア中断を余儀なくされてしまった駐妻さんに、活躍できる機会を創出してあげたい。」と寄り添ってくださる方々もいましたが、
面談・面接で受けた質問の数々と、人材紹介会社や在外支店の実情とを照らし合わせると、パートナーの駐在期間やライフイベントによっては短期離職しやすい駐妻を、紹介したり採用したりすることに慎重にならざるを得ない彼らの状況も理解することができました。
このことから、「もっと自分自身の得意を生かせて、誰にも迷惑をかけず、場所を選ばない、継続性のある働き方」を模索したいと考えるに至りました。
以上の理由から、せっかくの機会ではありましたが、私は現地採用という働き方から早期に手を引き、「フリーランス」という形で自分のスキルを活かす道を模索することになりました。
あくまで私の体験ではありますが、帯同先で働くことを考えているプレ駐妻の方々も、現地採用就業の実情をご理解のうえ、ご自身の理想の働き方と現実を比較してみて、最良な選択をしていただければと思います!
余談:妻、在外支店での挑戦を経て 〜夫婦対談〜
入社前に「日本本国企業と在外支店の違い」みたいなガイダンスがあれば有り難かったけど、在外支店の方々は、そんな研修サポート無しにすぐに現場で即戦力として働いているんだもんね・・・すごいわ・・・!
すごいと言うか・・・向き・不向きだと思うよ!
俺は、自走・自己裁量で仕事を進めていける在外支店の方が、自由度が高くて働きやすいと感じてる。もしそんな俺が、日本本国企業で働いたら、社員や部署が多すぎて混乱しちゃうな〜(笑)マニュアルやルールに縛られる働き方にも馴染めないと思う(苦笑)
あと、チームで進めていくとなると、自己裁量では進められないよね?回答待ちやお伺いを立てる時間・労力が増えるのもしんどいかも。だから、俺は日本本国企業で働いている方々、チームワークに楽しさを見出せるHORIMIを尊敬するよ!
え!なんかありがとう(笑)そっか、そう言われてみれば、私は日本本国企業で、特に社内インフラが整っている大手企業で、同じ方向を向く仲間が沢山いる職場環境の方が、働きやすくて自分には合ってたのかも。ワークライフバランスも実現したいし。
それに、日本での職場環境が嫌になってベトナムへ来たわけではないし、むしろ日本の職場を恋しく感じてる・・・。
在外支店の実情をもっと良く理解していたら、「自分には在外支店の職場環境は合わないかも」と早期に気づくことできたのかもしれない。
そうだね・・・!日本本国企業のような恵まれた職場環境を、在外支店に期待してしまっては危険。在外支店で働くっていうことは、「本国本社が出資してくれている”ベンチャー企業”で働くようなもの」だと思っといた方がいいかもね・・・!
私には、ベンチャー気質なんてものは全然ないや〜(笑)
でも、それは悪いことじゃない!誰にだって向き不向き、適材適所がある!それに、在外支店でトライしてみてたからこそ得られた経験や気付きだってあったでしょ?ナイストライだよ!
そうだね。在外支店に入ってみて、自分の向き不向き等を新たに気付けたおかげで、「この先の帯同生活はフリーランスで生きていこう!」って方向性を定めることができたもんね!
無駄な経験ではなかったし、在外支店の実情を分かったことで、より一層、そこで頑張る夫へのリスペクトや、妻として夫のサポートを頑張ろう!という想いが強くなったし!
お互い適材適所でがんばっていこう〜!!
【前編】まとめ
以上、堅く重た〜いお話が続いてしまいましたが(ごめんない!)、駐妻が帯同先で「現地採用」として働くということは、相当な覚悟とエネルギーが伴います。
現地採用の給与や福利厚生は、ご自身が日本本国で働いていた内容とは大きく異なり、現地の労働市場を基準に設定されます。
また、日本で培ったご自身の経験やスキルが、現地の求人市場にそのままフィットするとは限らず、自分自身を見つめ直す柔軟性や適応力が求められます。
そして、日系在外支店での就業では、多種多様な背景を持つ社員と共に働くことになります。
在外支店の労働文化は日本と異なりますし、社員間の理解を深め、力を合わせて進んでいくための研修や指導体制が十分に整っているとは言いきれません。
そのような現実を前にしても、やりがいと成長のチャンスを感じて、現地採用の道を選ぶ決断をするかどうかは、個々の判断次第。
しかし、帯同先で働きたい駐妻が、必ずしも、このようなチャレンジを無理に取り組む必要はありません!
それに、家事や育児と両立しながら在外支店での多忙な業務をこなすというのは、パートナーも多忙な駐在員である以上、駐妻にとって、あまり現実的ではないかもしれません。
そこで【後編】の記事では、筆者が“帯同先で働きたい駐妻さん”にオススメしたい「フリーランス」という働き方と、それを叶えるための「リスキング(学び直し)」についてもご紹介していきたいと思いますので、
【後編】の方も、ぜひご一読いただけると幸いです!
※上記の内容は、海外駐在歴8年・赴任2ヶ国を経験した駐在員の夫が監修の下、実際に帯同先(ベトナム)にて現地採用就業を経験した筆者自身の体験に基づいて執筆しています。
※国によって、外国人の労働許可取得条件は異なります。
※会社によっては、(帯同手当を支給する以上)駐妻の現地就業を禁じているところもあるようですので、パートナーの所属元(本社または駐在先の在外支店)にも就業条件等ご確認をお願いいたします。
※国や在外支店によっては状況が異なる点、筆者が感知できていない点もある旨ご容赦いただき、あくまでも参考としてください。
※個別のキャリア相談・税務相談等につきましては、現地専門家へご相談をお願いいたします。