ベトナム最大の商業都市「ホーチミン市」は、観光地としても移住先としても人気の高い都市。
初めて訪れる人にとっては、「どの区に何があるの?」「住むならどこがいいの?」と、土地勘がつかみにくいもの。
この記事では、ホーチミン市の全体像からエリアごとの特徴までをわかりやすくご紹介します。旅行や滞在の参考に、ぜひお役立てください。
ホーチミン市&トゥドック市ってどんな都市?

基本情報
ホーチミン市(Ho Chi Minh City)は、ベトナム南部に位置する同国最大の商業都市。
旧名「サイゴン(Saigon)」としても知られ、現在も地元の人々や看板などではこの呼び名が使われることも多くあります。
ホーチミン市の行政単位は、16の区(district/Quận)、5つの郡(Huyện)、1つの市(Thành phố Thủ Đức)の22の行政に分かれており、それぞれ個性豊か!
- 人口:約930万人(2024年時点)
- 面積:約2,095km²(東京23区の約3倍)
- 行政単位:
- 16の区(Quận):都市部・比較的中心に近い
- 5つの郡(Huyện):郊外・農村部が中心
- 1つの市(City / Thành phố Thủ Đức):2021年に設立された「特別な市」
- 気候:熱帯モンスーン気候(年中暑く、雨季と乾季あり)
- 乾季:11月〜4月(カラッと晴れる)
- 雨季:5月〜10月(スコールあり)
ちなみに、2021年には、ホーチミン市に属していた旧2区・9区・トゥドゥック区が統合されて、『Thu Duc City(トゥドゥック市)』が誕生し、都市内都市として注目されています。
↓あわせて、ホーチミン市&トゥドック市の気候については、こちらの記事をご覧ください!

エリア別の特徴

District 1(1区)|観光とビジネスの中心地
ホーチミン市の心臓部。主要な観光名所が集中し、高層ビルとフレンチコロニアル建築が並ぶエリアです。
- 有名スポット:中央郵便局、サイゴン大教会、統一会堂、ベンタイン市場
- ドンコイ通りやグエンフエ通りはおしゃれなカフェ・レストランが多く外国人にも人気
- 商業・オフィス街として日系企業も多数
District 3(3区)|歴史ある街並みとローカル文化の融合
落ち着いた雰囲気でローカルな暮らしが感じられる区。緑豊かな通りやおしゃれなカフェも点在。
- 有名スポット:戦争証跡博物館、ピンク教会(タンディン教会)、タンディン市場
- 観光の喧騒を離れたい人や、静かに過ごしたい人におすすめ
District 4(4区)|運河沿いのローカルフード天国
1区と7区の間に位置する、穴場のローカルフードエリア。川沿いにはおしゃれカフェも増えています。
- 有名:貝料理ストリート(Vinh Khanh通り)
- 再開発が進行中で、ローカルと都会が交錯する注目エリア
District 5(5区)|ベトナム最大の中華街「チョロン」
活気ある中華文化が色濃く残るエリア。飲茶や漢方薬、旧正月の装飾でにぎわいます。
- 有名スポット:ビンタイ市場、ティエンハウ廟
- 地元感たっぷりなグルメと雑多な市場の雰囲気が魅力
District 7(7区)|欧米・韓国人が多く住む整った街
新興住宅地「Phu My Hung(フーミーフン)」を中心に、インターナショナルな雰囲気が漂う街。
韓国人街や日本人学校があるのも、このエリア。
- 有名スポット:Crescent Mall、Starlight Bridge、SC VivoCity
- 英語が通じやすく、子育て世代の外国人にも人気
Binh Thanh区(ビンタイン区)|開発とローカルが混在する成長エリア
サイゴン川沿いの高層ビル群と、ローカル市場が共存する活気ある区。
- 有名スポット:Landmark 81、Vinhomes Central Park
- 若い外国人にも人気の居住エリア、ローカルグルメも豊富
Thu Duc City(トゥードゥック市)|新たな開発都市、3区統合の注目エリア
2021年に旧2区・9区・トゥードゥック区が合併して誕生した「都市内都市」。
今後の開発に最も注目が集まるエリアです。
- 旧2区(Thao Dien):欧米人街。おしゃれカフェ、雑貨店、アートスペースが並ぶ、外国人ファミリーに大人気
- 旧9区:スイティエン公園、ハイテクパーク。郊外らしい広々とした空間
- 旧トゥドック区:大学エリア、学生街として活気あり
(観光地&外国人居住地ではないけど知っておきたい)その他のエリア
中心地(1区)から離れるほど、ローカル色&工業地帯の傾向が強くなるので、以下のエリアは観光や短期滞在の外国人にはあまり知られていないですが、ローカル色が強く、ホーチミンの多様性を語るうえでは欠かせないエリアです。
近年では、メトロ開通を見据え、西側・北側の区でも開発が進行中。
短期滞在で訪れることは少ないかもしれませんが、「ホーチミンを知る」なら、以下のエリアの存在もぜひ頭の片隅に置いてみてください^^
District 6(6区)|ローカル色の強い住宅地、中華系住民も多い
- 隣接する5区のチョロン(中華街)に近く、中華系文化の影響が色濃い住宅エリア
- 大きな市場やローカル食堂が豊富
- 静かで庶民的な暮らしが感じられる
District 8(8区)|運河が多く、ローカル密度の高い下町エリア
- 運河に沿って発展した区で、橋の数がとても多いのが特徴
- 地元感満載のストリートフード天国
- 観光スポットは少ないが「これぞホーチミンの庶民の暮らし」を体感できる
District 10(10区)|医療・教育機関が多く庶民的な活気ある区
- 大学病院などの大型医療機関や大学が多く、学生と地元民が入り混じるエリア
- 『ホーティーキー花市場』、ローカルマーケットやファッション通り(Ly Thuong Kiet通り)もあり、ショッピングも楽しい

District 11(11区)|遊園地『ダムセンパーク』がある家族向けエリア
- 観光客にはほぼ無縁だが、『Dam Sen Park(ダムセンパーク)』という大規模遊園地で知られる
- ローカルな住宅街で、安価な飲食店も多く暮らしやすい
District 12(12区)|郊外感が強い、工業団地が点在する開発エリア
- 中心部からは離れた北部に位置し、物流・倉庫・工業関連施設が多い
- 近年、住宅開発も進んでおり、ローカル向けコンドミニアムが建設中
Phu Nhuan区(フーニュアン区)|空港に近く、移動に便利な穴場的住宅地
- 1区とタンソンニャット空港の間に位置し、アクセスの良さが魅力
- ローカル食堂とおしゃれカフェが共存する住みやすい区
- 観光客には知られていないが、長期滞在者にじわじわ人気
Tan Binh区(タンビン区)|タンソンニャット空港の所在地
- 空港のある区として、航空会社や関連サービス業が集まる
- 工場や物流施設も多く、商業・工業が混在
- ホーチミン市の「玄関口」として機能
Tan Phu区(タンフー区)|ローカル志向の新興住宅エリア
- 中心部から少し離れた西部の区で、地元の若いファミリー層に人気
- 『Aeon Mall Tan Phu』など、大型ショッピングモールもあり生活利便性は高い
- 公共交通の整備が進めば、今後さらに注目される可能性あり
Go Vap区(ゴーヴァップ区)|人口密度が高いベッドタウン
- ベトナム国内でも人口増加率が高い区のひとつ
- 住宅地として拡大しており、アパートやカフェが増加中
- 有名な『ゴーヴァップ花市場』もあり、ベトナムの生活感を感じたい人に◎
Binh Tan区(ビンタン区)|工場地帯とベッドタウンが広がる西部の区
- 工業団地(Tan Taoなど)がある労働者層向けの巨大住宅地
- ローカル食堂がひしめき合い、外国人の姿はほとんど見かけないがベトナムの日常を知るには面白い
ホーチミン市の5つの郡(Huyện – 郊外農村エリア)
工業団地や新興住宅街が建設されており、今後発展が期待される地域です。
日本人や観光客の生活圏からはやや離れていますが、クチトンネルやカンザー・マングローブ保護区など観光資源もあり、ディープな日帰り旅行にオススメですよ!
郡名 | ベトナム語名 | 位置 | 主な特徴 | 注目スポット |
---|---|---|---|---|
1. ホックモン郡 | Huyện Hóc Môn | 北西部 | 農業が盛んな地域。都市化も進行中。 | ・バーディエム市場 ・ホックモン仏教寺院群 |
2. クチ郡 | Huyện Củ Chi | 北西端 | 有名史跡『クチトンネル』がある観光地。農地が広がる。 | ・クチトンネル ・カオダイ教寺院(少数宗教) |
3. ビンチャイン郡 | Huyện Bình Chánh | 西南部 | 郊外住宅開発が進む。インフラ整備中。 | ・ヴィンロック工業団地群 |
4. ニャーベー郡 | Huyện Nhà Bè | 南部 | 川や湿地が多く、水上生活や港湾が中心。 | ・ニャーベー川 ・フーミーフン開発地区に隣接 |
5. カンザー郡 | Huyện Cần Giờ | 南東部・海沿い | ホーチミン唯一の海沿いエリア。マングローブ林が広がる。 | ・カンザー・マングローブ保護区 ・エコツーリズム系ビーチリゾート ・カンザー生物圏保護区(モンキーアイランド) |
まとめ
ホーチミン市は、一つの都市の中に多様な文化とライフスタイルが共存する国際都市です。
観光名所が集まる1区だけでなく、それぞれのエリアにも魅力があります!
目的や滞在スタイルにあわせて、自分にぴったりの区を見つけてみてくださいね。
これからホーチミンを訪れる方、住む方にとって、少しでもこのガイドが参考になりますように!
※上記は、2025年5月時点の内容です。実際の内容とは異なる場合がありますので、ご了承ください。