娘がついに生後12ヶ月、1歳になりました。
日本で産まれ、生後3ヶ月でパパの駐在先・ホーチミンにやって来て・・・もう1歳。
今じゃ、異国の地だからって何のその。初めて出会うどんな国籍の人にも臆せず自分からアイコンタクトを取って笑顔で語りかけ、人に手を振り・・・と親顔負けの社交性っぷりを発揮しています(笑)
――そんな娘の成長を見ていると「もっと外の世界で過ごす時間が必要なのでは?」と感じるようになり、今春の幼稚園入園を真剣に考え始めています。
妊娠中から出産・育児(自宅保育)を経験したこの約2年間は、体調不良や寝不足、体力消耗が続き、ブログに向き合う余裕もなく過ごしてきましたが・・・
娘が幼稚園に通い始めれば、私自身もブログを本格的に再開したり、テレワークで仕事復帰したりできるのではないか、と希望が湧いています!
今回は、そんな私自身が実際にホーチミン市内で幼稚園探しを通じて感じたこと・発見、そして、そのプロセスの中で出合った国際的な教育法「レッジョ・エミリア・アプローチ」についてまとめてみました。
ホーチミンには、外国人向けの保育園がない問題
娘の通園を考え始めて、まず最初に考えたのは「保育園」という選択肢でした。
生後6ヶ月頃になって、市内に保育園はないかな〜?と調べ始め、0歳・1歳児クラスがある保育園を視野に入れようとしたのですが・・・――ここで思わぬ壁にぶつかりました。
ホーチミン市内には、外国人の子どもが安心して通えそうな”外資系保育園”がほとんど存在しないのです・・・!
私が見つけた限りでは、唯一、生後6ヶ月〜預けられるフランス系の保育園が1軒だけが見つかり、チケット制でスポット利用もできるようでしたが、園内公用語がフランス語という、フランスに全く縁がない外国人親子の選択肢としてはややハードル高め・・・。
なぜこんなにも保育園がないのか・・・それは、ベトナムならではの文化的背景が影響しています。
ベトナムでは、働く両親に代わってナニーさん(お手伝いさん)や祖父母が育児をメインで担うケースが多く、「0歳〜1歳児を保育園に預ける」という需要自体が非常に少ないようなのです。
そのため、保育園の数が圧倒的に不足しているのが現状・・・!
ローカル保育園も探せばあるにはあるのでしょうが、言語の壁や衛生環境、慣れない生活習慣などを考えると、外国人家庭が利用するには、こちらもハードルが高いというのが正直なところでした。
こうして保育園という選択肢は現実的ではないと判断し、次に目を向けたのが「幼稚園」でした。
幼稚園探しのスタートライン:日系幼稚園 VS インターナショナル幼稚園
しかし、ここでも最初に立ちはだかったのは、「入園可能な月齢の制限」です。
多くの日系幼稚園では、生後18ヶ月〜 という基準が一般的。
現在生後12ヶ月の娘が日系幼稚園に入園するには、まだ半年も待つ必要があります。
ただ、娘はとにかく外へ出ること、動き回ることが大好きで、出会う人に自ら笑いかけたり手を振ったりするほどの“超・社交的ベビー”。
外の刺激への関心が強いこの時期に、日系幼稚園入園のためにあと半年も待って家中心の生活を続けるのは、「今の娘には遅すぎるのでは?」と強く感じます。
・・・というわけで、日系幼稚園は一旦見送りの方向に。
そこで候補に入れたのが、生後12ヶ月〜受け入れが多いインターナショナル幼稚園です。
幼稚園探しを始めてみると、日系とインターでは教育方針やカリキュラムだけでなく、入園年齢にも大きな違いがあることに気づきました。
結果、娘の性格や現在の成長段階を考えると、インターナショナル幼稚園のほうが合っているかもしれないという結論に至りました。
インターナショナル幼稚園って、どんな違いがあるの?
インターナショナル幼稚園と一口に言っても、採用している教育法・カリキュラム・哲学はさまざまです。
一般的にホーチミンの幼稚園で採用されている代表的な教育方針を簡単にまとめると…:
- IB(International Baccalaureate:国際バカロレア)… 3歳以降〜主体性や探究心を育てる、国際的な教育体系
- モンテッソーリ・・・自立心と集中力を育てる「お仕事」を取り入れた教育法
- レッジョ・エミリア・アプローチ・・・表現力と探究心を育てる、創造性重視の教育哲学
- シュタイナー・・・年齢発達に沿ったカリキュラムで、感性と人間性を育む教育
など、教育理念や価値観が園ごとに異なります。
それぞれの特徴をしっかりとWebサイトや評判、実際の見学で比較した上で、私自身が直感的に惹かれたのが「レッジョ・エミリア・アプローチ」でした。
レッジョ・エミリア・アプローチとは?

『レッジョ・エミリア・アプローチ(Reggio Emilia Approach)』は、イタリア北部の小さな都市・レッジョ・エミリアで戦後に生まれた幼児教育の哲学です。
家庭と教育コミュニティが協力し、子ども一人ひとりの可能性を大切に育む教育として世界的に注目されています。
この教育法の中心には「子どもは学びの主体である」という考え方があり、「子どもは100の言葉を持っている」という有名な言葉にも象徴されるように、子どもたちは表現方法を無限に持っていると捉えられています。
これは単に言語としての「言葉」ではなく、描くこと・動くこと・話すこと・音で伝えること・協力することなど、多様な表現=学びの言語を意味しています。
近年では、米Google本社内の幼稚園でもこのアプローチが取り入れられるなど、海外で高く評価される教育法として広がっています。
私的には、レッジョ・エミリア・アプローチは、単に大人が知識を与えるのではなく、子どもの創造性・観察力・コミュニケーション能力を引き出し、自ら考え・表現する力を育むことに重きを置いている点が、日本の伝統教育法とは大きく異なり、興味深いなと感じました。
レッジョ・エミリア式幼稚園では、具体的に、次のような教育理念・方針が取り入れられていることが多いようです。
子どもの主体性を最大限に尊重
レッジョ・エミリアでは、学びは子ども自身が「探究したい」と感じることから始まります。
教師が一方的に知識を教えるのではなく、子どもたちの興味や関心・問いを学びの軸に据えるのが特徴です。
たとえば、「虫ってどうして飛ぶの?」という問いをきっかけに、観察・図鑑調べ・実験・制作などが自然に広がり、子どもたち自身のペースで学びが深まっていきます。
こうした流れは、既成のカリキュラムに従う教育とは異なり、その子の内発的な好奇心を最大限に尊重する教育だと言えます。
先生は「伴走者」、親も教育のパートナー
レッジョ・エミリアの教育現場では、教師は「教える人」ではなく「探究の伴走者」とされています。
教師は子どもたちの活動を観察し、問いを引き出し、適切な素材や環境を整え、子どもの思考や表現を支えるサポーターとして関わります。
これは、子どもの主体性を尊重する考え方が教育現場の中心にあるからこそ実現できる役割分担。
また、保護者も子どもの学びを支える重要な存在(第一の教師)として位置づけられ、家庭と園のコミュニケーションが密に行われるのも特徴です。
プロジェクト活動を通した深い学び
レッジョ・エミリア・アプローチでは、学びは単発の活動ではなく、プロジェクトとしてじっくり取り組まれます。
子どもたちは小さなグループで協力しながら、テーマを深く探究していきます。
例えば「水」のテーマなら、水の状態変化・流れる性質・濡れた素材と乾いた素材の違いなど、子ども自身の興味が次々に広がります。
こうしたプロジェクト活動を通じて、協力する力・表現する力・考える力・コミュニケーション力が育まれることが期待されます。
「環境」は第三の教師
レッジョ・エミリアが特に大切にしているのが、学びの環境そのものを教育の一部とする考え方。
「環境は第三の教師」という言葉が象徴するように、以下が子どもの学びを導く大切な要素と捉えられています。
- 広々とした共有スペース:自由に探索できる環境
- 多様な素材:木片・絵の具・自然物・光・影など、感覚や思考を刺激する素材
- アトリエ(創作スペース):想像を形にする場として常設
- 緑や自然に囲まれた空間:五感で学びを育む環境
こうした環境は、子どもが自分で選び、試し、工夫し、表現することを自然に促すそうです。
ドキュメンテーションによる振り返り

レッジョ・エミリア・アプローチで特徴的なのが、「ドキュメンテーション」と呼ばれる記録・可視化のプロセスです。
これは、子どもたちの活動を結果だけでなく過程を丁寧に記録し、振り返ることを目的としているそう。
子どもが何に興味を持ったのか、どんな発見をしたのか、どのように仲間と関わったのか──こうした一連の流れを写真や言葉、作品として残すことで、子ども自身も教師も学びを深めることができます。
これにより、次の学びに向けた気づきや問いが自然に生まれていくのです。
このように、子どもの主体性や探究心を大切にするレッジョ・エミリア・アプローチ。
この考え方を取り入れた幼稚園がホーチミン市内にはいくつか存在します。
ホーチミンで”レッジョ・エミリア”を採用している幼稚園
以下は、私が調べている中で、レッジョ・エミリア・アプローチに関連する教育方針や理念を打ち出しているホーチミン市内の幼稚園です(完全網羅ではありませんが代表例として参考までに):
Aurora International School of the Arts
『Aurora International School of the Arts』は、レッジョ・エミリア・アプローチを教育理念のコアに据えた幼児〜中等教育一貫校で、幼児期(12ヶ月〜)から子どもを「主体的な学び手」として尊重する環境を整えています。
学習はプロジェクトや探究活動を中心に進められ、自然や環境との関係性を意識しながら学びを深めるカリキュラムが特徴です。
園内には光・自然・素材・制作などに特化した「アトリエ」や屋外空間が設けられ、環境そのものを学びのツールとして活用。
保護者参加型のワークショップなどもあり、家庭と園をつなぐ教育コミュニティ形成にも力を入れています。
こうした包括的な取り組みが、日本人駐在家庭はじめ国際家庭の間で人気を集めている大きな理由となっているようです。
Saigon Kids 1 & 2
『Saigon Kids』は、タオディエン内に園舎が2つあります。
レッジョ・エミリア・アプローチをベースに、ニュージーランド式幼児教育(Te Whāriki)の考え方を織り交ぜたカリキュラムを採用している幼稚園です。
子どもの主体性や探究心を尊重しつつ、自然との関わりや日常の体験を重視した学びが特徴。
緑に囲まれた可愛らしい小さな園舎は、家庭的で落ち着いた雰囲気があり、子どもが安心して過ごせる環境づくりにつながっています。
大規模校にはない、きめ細やかな関わりや温かいコミュニティを重視したい家庭に人気の園です。
Lavelle Academy
『Lavelle Academy』は、子どもの感性や創造性を大切にする教育方針を掲げ、レッジョ・エミリア・アプローチの考え方を環境づくりや日々の活動に取り入れている小規模幼稚園です。
園内のインテリアは系列のインテリアブランドが手がけており、自然素材やデザイン性の高い空間が「環境は第三の教師」というレッジョの理念を体現しています。
また、食事面では系列レストランのシェフが監修し、添加物を使用しない安心・安全な食事を提供している点も大きな特徴。
美しい空間と質の高い食育を通じて、子どもたちの五感や主体性を育てることを重視している園といえます。
Sky International Preschool Vietnam
『Sky International Preschool Vietnam』は、レッジョ・エミリア・アプローチの考え方を取り入れ、子どもの興味関心を起点とした探究的な学びを大切にしている幼稚園。
特に、未就園児(0歳〜参加可)を対象とした『Sky Play House』というプログラムに力を入れており、音楽や感覚遊びを通じて、五感を刺激する体験型の活動を提供しています。
遊びの中で自己表現や創造性を育てる点は、レッジョ・エミリアの理念とも親和性が高いのが特徴です。
幼稚園入園前から、親子で学びの雰囲気に触れられる点も魅力のひとつです。
Little Foot Kindergarten – Malaguzzi Creative Houe
『Little Foot Kindergarten – Malaguzzi Creative House』 は、レッジョ・エミリアへの敬意を込めた名称(Malaguzzi = レッジョ創始者へのオマージュ)を冠する幼児教育施設。
園名にも示されるように、子どもが自らの好奇心を発揮しながら表現し、協同して探究する環境づくりが重視されています。
多様な素材や空間を使った創造的活動を通じて、感性やコミュニケーション能力の育成を図っています。
保護者・教師・子どもが協働するコミュニティ的な教育スタイルも特徴で、小さなグループでの活動やプロジェクトが日常的に行われています。
Trường Mầm non Thế giới Mặt Trời – Little Em’s Pre-school
『Little Em’s Pre-school』は、公式にレッジョ・エミリア・アプローチ®(認定)を掲げる幼稚園として運営されている園です。
子どもを中心に据え、教師・保護者・コミュニティが協力しながら学びを進める環境づくりを重視しています。
園内には「La Piazza」などの共有スペースがあり、プロジェクト活動や子どもの表現活動が自由に展開される場として機能しています。
絵本や物語を通した探究・表現、グループ活動を通じた社会性の育成など、レッジョの基本原理を日々の教育に落とし込んでいる点が大きな特徴です。
実は、これらの幼稚園や関連施設の中には、入園前の親子向けに気軽に参加できる「Playgroup/ Playdate」を開催しているところもあります。
入園前に親子で参加したい!「Playgroup 」「Playdate」

幼稚園入園本番までまだ時間がある分、できるだけ親子で幼稚園の環境や教育に慣れ親しむ機会を作りたいと考えた私。
そこで、園見学に留まらず、各レッジョ式幼稚園が主催する未就園児向けの『Playgroup(プレイグループ)またはPlay Date(遊びの集い)』と呼ばれる体験型イベントにも参加してみることに。
Playgroup / Playdateとは、日本でいう「未就園児向けの体験会・親子参加型プログラム」のこと。
入園前の親子にとって、各園の環境や雰囲気、教育観に触れられる貴重な機会になります。
しかも我が家的には、娘がどんどん動くようになり、好奇心が膨らむに連れ、自宅保育だと遊びのネタが追いつかなくなってきたので(笑)広い園舎で伸び伸びと遊べるPlaygroup / Playdateの機会は、本当にありがたかったです・・・!
Playgroup / Playdateは、園によって頻度や内容が異なりますが、たいてい毎週決まった曜日・時間帯に開催されているので、興味がある方はぜひチェックを!
参加申込みの際は、園によっては事前予約が必要な場合があるので、その都度公式HPやSNS、または、直接問い合わせて最新情報を都度確認することがポイントです。
まとめ
今回の幼稚園探しは、単に「どこに入園させるか」を決める作業ではなく、これから娘がどんな環境で、どんなふうに世界と関わっていくのかを考える時間でもありました。
ホーチミンには、外国人家庭が安心して利用できる保育園が少なく、当初は「選択肢がない」という現実に戸惑いも感じました。
けれど一方で、幼稚園というフェーズに目を向けると、国際都市ならではの多様な教育理念・教育法が存在していることにも気づかされ、今はそんな環境に身を置けていることに感謝しています。
幼稚園探しを通じて強く感じたのは、教育に「これが絶対の正解」という答えはなく、何を大切にしたいかは家庭ごとに本当にさまざま(親の価値観、子どもの性格、家庭環境、暮らす国や文化——その組み合わせによる)だと、幼稚園探しを通して改めて感じました。
だからこそ、周りと比べるのではなく、「我が家にとって心地よい選択かどうか」を基準に考えることが大切なのだと思います。
ちなみに、我が家が「レッジョ・エミリア・アプローチ」に惹かれたのは、固定されたカリキュラムよりも、日々の発見や対話、試行錯誤のプロセスそのものに価値を見出す考え方が、外の世界に強い関心を持つ現時点の娘と相性が良さそうだと感じたから。
そして、これからも続く我が家の海外駐在生活にもフィットしていると感じたからです。
これまで私自身が思い描いていた「幼稚園像」は、どこかで「◯歳になったらこれを学ぶ」「決められた活動をこなしていく」といった、年齢やカリキュラムありきのイメージだったように思いますが・・・
レッジョ・エミリアの考え方に触れ、学びの出発点は“子どもの中にすでにある好奇心や問い”でいいのだ、という視点に出合ったことで、幼児教育に対する私自身の価値観もアップデートできました。
また、「Playgroup / Playdate」に参加したことで、娘がどんな環境でいきいきと動き、どんな刺激に反応するのかを、
入園前から具体的にイメージできたのも大きな収穫!
幼稚園探しは、入園先を決める作業であると同時に、「我が家はどんな育児を大切にしたいのか」「親としてどう関わっていきたいのか」を夫婦で、そして自分自身と向き合いながら考える時間でもあったように思います。
これからも、娘の小さな「なんで?」「やってみたい」を大切にしながら、我が家なりのペースで、学びと遊びの両方を楽しむ海外育児を続けていきたいです。
本記事が、ホーチミンで幼稚園探しに悩んでいる方にとって、少しでも参考やヒントになれば嬉しいです。








